叡山「なんだ…これは…?」
ソーマが餃子に投入したのはラードに漬けこんだスパイスの塊。学園祭で作り上げた麻
婆カレーの応用だった。
高熱のフライパンでラードが溶け、中に仕込んでいたスパイスが強烈な香りを放ってい
く。
餃子自体の香ばしい匂いに加え、胡椒餅のタネにも使ったオリジナル中華スパイスの香
りが会場全体に広がる。
ヨダレを止められない竜胆。
審査員たちは必死に平静を装うも、内心味見したくてたまらない様子。
審査員A(なんという香り…!!)
審査員B(食欲の本能を刺激される激烈なスパイス!!)
審査員C(匂いだけで涎が止まらぬわ…!)
十傑の本気の調理過程を目の前に、それでもソーマの料理に惹かれる審査員たち。
そしていざ実食。
甲山の食戟の時と同じく、本来なら実食前に採点を行う手筈だったが、ソーマの料理の
インパクトに3人ともが忘れてしまう。舌打ちする叡山。
至福の表情の3人だが、ここで叡山の調理も大詰めに。
作り上げたのはソーマと因縁のある”唐揚げ”。
ソーマが中華風の餃子で攻めてくるのは予想がついたので、叡山も中華風唐揚げ”油淋
鶏”をチョイス。
ネギ・生姜・ニンニクの効いた醤油ベースの酢ダレが地鶏の風味を損なわずに絶妙なハ
ーモニーを演出。
そして採点。
学校中が、否、社会に羽ばたいた名だたる遠月の卒業生達に後援会、提携企業など”美
食”に関わるあらゆる者たちがこの一戦に注目していた。実際、テレビ中継は遠月学園
内だけであったが、噂は爆発的に広まり、ネットを通してライブで中継されていたのだ
。
日本において美食に関わるあらゆる者たちが画面にくぎ付けとなっていた。
極星寮も一時休戦状態で、田所えりな達は食堂で、叡山の手下たちは外でスマホと睨め
っこ。
悩む審査員たち。内心ではソーマの料理の方が優れていたと認めてしまうも、買収され
ている手前、叡山に票を入れるしかない。それに叡山がここで負ければ八百長に関わっ
た自分たちも学園を追放されるのは確実。
審査員が一斉に叡山に票を入れようとしたその時、厨房のドアが開けられる。
入って来たのは薊。
「…総帥…!?」
薊は無言で二人の料理を口にする。
と次の瞬間、叡山が退学宣告される。
叡山「は!!!?」
審査員「そ、総帥お待ちをっっっ! 叡山ETSUYAの真髄はそのビジネステクニックにあり
ます!!」
審査員「数えること500をゆうに超える顧客を持っております!!」
薊「それが、何か?」
ゾクッとする審査員たち。
薊「凡百の大衆食なぞ微塵の価値もない。美食とは選びぬかれた一握りの地位の者の為
にあるのだ」
「まして、八百長でしか勝てぬ者の料理など遠月には必要ない」
固まる叡山「なーー…..!!!」
まさかの叡山退学が決まる。
九席就這樣被婊死..........