警察庁は30日、新東名高速道路の新静岡インターチェンジ(IC)-森掛川(もりか
けがわ)IC(静岡県、約50キロ)間と、東北自動車道の花巻南IC-盛岡南IC(
岩手県、約27キロ)間の上下線で、3月1日から最高速度を試験的に時速120キロ
へ引き上げると明らかにした。120キロへの引き上げは国内で初めてで、試行期間は
少なくとも1年間を予定している。2区間で平成29年から1年間試行した110キロ
で安全レベルを確認できたと判断した。
最高速度の段階的な引き上げは、有識者らの研究委員会による28年3月の提言を受
けた措置。引き上げは乗用車やバイクなどが対象で、大型貨物車やトレーラーなどは8
0キロ規制のまま据え置かれる。2区間の死傷事故や走行速度など交通実態の変化を分
析し、安全性を確認できれば他路線・区間への拡大を検討する。
安全性確認後に120キロの検討対象になるのは、カーブや勾配が緩やかで見通しが
よいなどの条件が整った「高規格」の高速道路で、2区間を含め北海道から九州まで1
3路線19区間(計約837キロ)ある。高規格高速道路は構造上、120キロでも安
全で快適な走行が可能とされる。
警察庁がまとめた、交通量が少ない状況(自由流時)での2区間の110キロ試行結
果によると、追い越し車線の平均速度は、試行前と比べ大きな変化はなかった。新東名
では120キロ台前半で、上り線で1・5キロ、下り線で0・3キロ上昇するにとどま
った。一方、東北道では上下線ともに低下し、110キロ台前半だった。