あのPC─98が高値で売られてた 意外な場所で活躍中
http://www.asahi.com/articles/ASJ5432RSJ54UEHF001.html
2016年5月4日12時15分
日本のパソコンの代名詞だった、往年の名機「PC─98」シリーズ。スマホとタブ
レットがひしめく21世紀に、いまだ中古市場で根強い人気を誇る。たった80MBし
かないハードディスクが1万数千円するなど、周辺機器も高値で取引され続けている。
どういう人たちが買っているのか? 専門通販ショップ店主に聞いた。
■家庭向け本格PCの先駆け
PC─98は、NECが80年代から販売していた16ビットマシン。当時としては
高精細なグラフィック処理を得意とし、旧来のビジネス用途のほか対応ゲームソフトも
たくさん出回り、家庭向け本格PCの先駆けとも言える存在だ。ピーク時の国内シェア
は少なくともビジネス向けで8割、個人向けで5割以上あったとされる。
しかし、インターネット時代に適応したマイクロソフトのOS「ウィンドウズ95」
の登場や、より汎用(はんよう)性の高い共通規格のDOS/V機(いわゆるウィンド
ウズPC)が国内外のメーカーから多く出回るようになると、独自のソフトやハードが
逆に足かせとなりシェアが低下。旧来の規格を土台にウィンドウズに対応していったが
、ウィンドウズ98SEを積んで2000年6月に発売された「PC─9821NR3
00/S8TB」が最終モデルとなった。
■ジャンク品でも数万円で出品
さらに時代は下って、ウィンドウズPCの全盛期も過ぎて情報通信の主役がモバイル
端末に移りつつある2016年。完全に使命を終えたかに思えたPC─98だが、ネッ
ト通販などでは根強いニーズに裏打ちされた高値取引が続く。オークションサイト大手
「ヤフオク!」では、「PC─98」カテゴリーで1400件超の出品がある(5月4
日時点)。動作を保証しないジャンク品でさえ数万円で売り出されている。
今もって愛用し続けているのは、一体どういった人たちなのか?
PC─98シリーズを専門に扱う修理販売ショップ「PC─98のミシマ」(静岡県
伊豆の国市)の店主・井口智晴さん(34)によると、工場での生産ライン管理や、部
品を設計・製図するCAD(キャド)システムを動かすのに活躍しているという。
■PC─98が組み込まれた生産ライン
80年代後半─90年代前半のバブル経済期に設備投資された工場設備は、開発コス
トを抑えるため、当時の汎用機だったPC─98でシステムを組むケースが多かったと
いう。その後、不況に見舞われるなどしてシステムを更新するタイミングを逸して当時
のまま使い続けている工場こそが、今もPC─98が活躍する現場だ。
そう聞くと、設備投資に費用をかけられず最新デバイスにもなじめないような町工場
の高齢経営者を想像してしまう。しかし、意外にもロングセラー商品を作っているよう
な大企業ほど、古い設備の更新に膨大な費用がかかるため、古いPCを使い続けるケー
スが多いという。
ほとんどがウィンドウズ以前の「N88─BASIC」や「MS─DOS」といった
当時のOSで動いている。ミシマの顧客には「自動車やインフラ、電車製造など、みん
な知ってる有名な会社さんもいます」とのこと。
■倉庫には1千台のPC─98
ちなみにNECによると、PC─98の保守期間は2010年10月に終了している
。新品の買い替えが不可能なうえにパーツ供給もないため、ユーザーは既存の機器やパ
ーツを修理しながら使い続けるしかない。
そのためミシマでは、倉庫にPC本体だけで約1千台を確保。CADのデータを読み
書きするためのフロッピーディスクドライブは2千台近くあるという。仕入れ時にはジ
ャンク品同然だったりするものも、分解して部品交換したり顧客の求める仕様にカスタ
マイズしたりしながら、きちんと動くようにして一日に数台のペースでコンスタントに
売っている。
■「生産ラインが止まった」駆け込む工場担当者も
こういった専門業者に頼るしかない現場のニーズは切実だ。なかには「PC─98が
壊れたせいで生産ラインが止まってしまった」と、アタッシェケースに入れて持ち込み
修理に駆け込んできた工場担当者もいたという。
周辺機器も引っ張りだこだ。1万800円の未使用品のマウスは在庫切れ。ハードデ
ィスクは内蔵タイプの80MBモデルが1万2960円だ。
業務用のバーコードリーダーは4万8600円。LED式の最新型を、変換アダプタ
ーを介してPC─98に接続できるように加工している。自動車部品工場で、出荷時の
タグの読み取りに用いられるという。
■まるでヴィンテージカー
さらに、近年は個人客からの問い合わせもある。ロールプレイングゲームやシミュレ
ーションゲームなど80年代のレトロゲームがマニアの間で静かな人気だ。ミシマでも
、「懐かしい」「昔に持っていたのと同じマシンが欲しい」と買い求める個人客が年に
数人ぐらいいるという。
ただ、井口さんは「ブームはありがたい」としながらも、「ファミコンと同じ感覚で
は(ハードを)維持できない」とクギを刺す。たとえば、当時のゲームソフトである古
いフロッピーディスクにはカビが生えてしまっていることも少なくなく、そのまま挿入
するとドライブが使えなくなってしまう。
まるでヴィンテージカーのごとく、専門知識やきめ細かいメンテナンス、丁寧な取り
扱いが求められる。
■製造元のNECは
知る人ぞ知るロングセラーとなっている中古のPC─98。製造元のNECはどう思
っているのか。
NECコーポレートコミュニケーション部の担当者は、「(PCの知識が豊富で)よ
くお分かりになっている方にお使いいただいているのだろう。大切に末永くご愛顧いた
だきたい」と話している。(北林慎也)
簡直像挖到寶有管道我也想抱一台回來
這樣手邊收藏的遊戲就能完美復活啦