[情報] 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。vol.66

作者: OGATA (HARUKA)   2007-06-26 16:38:09
全文載於:http://blog.mag2.com/m/log/0000071890/
◆◇ 「 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。」 ◇◆   2007年6月22日発行
                  vol.66「桜」
 ありがたいことに、このところ、ドラマCDの面白い仕事が続いている。
 特に「レイスイーパー」(リイド社・少年ファング連載中)という作品は、収
録が終わった後、数日たっても、余韻がいつまでもカラダに残っていた。
 吸血鬼(レイス)と戦う吸血鬼ハンター(レイスイーパー)と吸血鬼たちが展
開する、スリリングで美しい少年マンガ。骨格がしっかりした面白くて深いスト
ーリーに加え、美しい少年少女満載で、いろんなタイプの「ペア」がいる……ひ
と粒で数度オイシイ、い~いお話なのだ(笑)。
 私が演じたのは、二人の主役の内のひとり剣清(つるぎ・さや)役。
 自分にも他人にも厳しい、クールな正当派ヒーロー(?)的高校生。カラー的
にはセーラームーンの天王はるかに近いのだが、彼女よりもっとストイックで凛
々しい、「ツン」な少年タイプのコである。
 共演者も非常に「濃く」て、「オイシイ」方々ばかり(笑)。
 ぬけてるけどまっすぐでカワイイ、ムードメーカー・ヒロインの雫文(しずく
・あや)役の清水愛ちゃんを始め、中田穣治さん、鈴村健一、松岡由貴、諏訪部
順一、くじらさん、松来未祐、矢作紗友里etc!
 全員美しいorカワイイのにキャラがたっているキャラクターたちを、更にキャ
ラだちさせている素晴らしい役者さんが、チョイ役に至るまでギッシリ。しかも
それぞれの役者が、第一声から「(役)本人?」とみまごうほどピタッとハマリ
きっている……そんな作品は、実は、意外と少ない。
 そしてそういう作品は、たとえたった1日・4時間だけの出会いでも、10年たっ
てもまるで昨日演ったかのように、思い出すだけで全身の細胞に蘇り、私を支配
してしまうのだ……。
 ということを、今、やっぱり、昨日演ったかのように思い出して書けてしまう
くらいなんであるが、この作品を実際に演じたのは、4月の下旬頃だった。
 ちょうどその余韻の最中だったその数日後、私は、1枚の桜の花びらを拾った。
 正確には拾ったのではない。勝手にやってきたのだ。
 忘れもしない、西新宿の某ビルをでて100mほど歩いたところで、ふと、カバン
の中(の一番上)に1枚の桜の花びらが入っているのに気づいた。
 周りを見渡しても、咲いている桜の木はどこにもない。
 ……この子はいったい、どこから来たのだろう?
 気まぐれに……ホントに気まぐれに、その花びらを押し花にしてみた。そんな
ことをしたのは子供の頃ぶり! 自分でもなぜそんなことをしたのかわからない
んだが、と話したら、ある子がこう教えてくれた。
 「落ちてきた花びらを地面に着く前にキャッチできると“願い事が叶う”とい
う桜のジンクスをご存じですか?  意図的に捕まえようとするとこれが意外と難
しいんです……今回の素敵なお仕事との出会いはそのご縁かも!?(笑)」
 と。
 わー、それがホントなら大事にしなきゃ! と、その押し花を栞のようにして、
キーケースにしまいこんだ。
 そのキーケースを、先日、落としてしまったのだ。
 その夜は、仕事やらなんやらで、とても遅い時間から食事をした。
 渋谷についたのが夜9時くらい。そこから12時近くまでいて、タクシーで家に帰
った。
 家に入ろうとして気づいた。……キーケースが、ない。
 スペアを持っていたのでとりあえず入ったが、リュックをひっくり返しても服
のポケットを全部めくりあげても、キーケースはどこにもなかった。
 どうやらリュックのポケットがしまりきれてなくて、落ちてしまったようだ。
 しかもアレには、免許証が挟み込んであって、、、
 ………………orz
 なーんて落ち込んでるバアイではない!
 住所・氏名がバレた上にカギまで進呈という、なんとドロボウさんに親切なワ
タクシか、になってしまうでわないか!!
 その日は酔っぱらっていたのでとりあえず寝て(爆)、次の日、あちこちに電
話をした。仕事場とか立ち寄った店とか、タクシー会社とか。
 しかしどこにもなかった。
 一日忙しく時間に追われていた日だったので、ずっとタクシーで移動し続けて
いて、道路に落としたとしたら、タクシーから建物の間の僅かな時間でしかあり
えない。その僅かな隙に、落としてしまうなんて……!
 かなり落ち込んだが気を取り直し、警察に届けて鍵屋やセコムを呼び、すぐに
いろいろ取り替える手続きをして。3日後、すべての鍵が無事に入れ替わり、やれ
やれ、と思ったとき、警察から、「見つかりました」という連絡が!
 ………………orz
 「“変えた”からこそ、“見つかった”んだ」と言って慰めてくれた方もいた
けれど、「コピーを取られている可能性も捨てられないから、用心に越したこと
はないよ」と忠告してくれる方もいて、恐る恐る、警察署へ。
 でも、キーケースそのものも、中に入っていた免許証も、緊急時用に入れてい
た1万円札1枚も、すべて無事にそのまんま!! 拾われたという渋谷へ行ったの
は夜9時すぎで、その日のうちに届け出がされていたようだったので、きっと本当
に何もされてないと思った。
 拾い主は女性。連絡は不要とのこと。
 でも、この世知辛い世の中で、しかも渋谷の繁華街真っ直中で、、、
 ……本当に世の中、捨てたモンじゃないと、久しぶりに思えた出来事だった。
 ありがとうございました。
 本当にありがとうございました、Yさん!(お名前見えちゃった(^^;)
 心から感謝しています……!
 と、そこで。
 そのキーケースに、例の桜の花びらを入れていたということを思い出した。
 「落ちてきた桜の花びらを地面につく前にキャッチすると、願いが叶う」
 というあのジンクス。あれはあの時の良い仕事のためにあってくれたのかと思
っていたけど、、、、
 今回、無事にキーケースが返ってきたのは、もしかしたら桜も助けてくれたの
かも、と思いついた。そうだったら本当に大感謝だ。
 その気持ちをこめて花びらを焚こうと、取り出しかけた時、気づいた。
   花びらだけが、ない、、、
 ない。ないのだ。
 キーケースに入れていた他すべてがそのままだったのに、あの押し花にした桜
の花びらだけが、忽然とその姿を消していた。
 ……なぜ?
 ……やっぱり、桜の……?
 桜は、どこにいったのだろう。
 拾ってくれたその親切な女性のところに紛れ込んで、今頃、彼女の願いを叶え
てくれているのかもしれない。
 そう、願いつつ。

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