◆◇ 「 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。」 ◇◆ 2008年4月8日発行
vol.76「恐怖のホテル。」
只今絶賛、ライブツアー刊行中のオガタです!
……といっても、後は横浜だけですが(^^;
ホッとするような、さみしいような……でも最後まで突っ走りたいと思います。
YES!(笑)
重度の声帯疲労から途中声帯結節が出来、ヤバかった前回とは一転、今回はよく
鳴ってくれてます、このボロ楽器。
優しく寄り添ってくれる他楽器奏者の調べにのせられて、優雅に繊細に美しく…
…なーんてワケもなく、全曲バンドメンバー総働きの総攻撃! 中指立て、フェン
スに乗りまくり、思う存分吼えまくり!!!(笑)
大阪では自分のライブとしては初・酸欠になり(熱気で。オーディエンスの大半
が女子では珍しいらしく)、広島では爆音のあまり初・難聴になり(爆音で。PAさ
んが気持ちよく音量MAXにしてくれて/笑←出音がよくないとしてくれないらしく)、
リベンジの地・名古屋では総尺+3曲で叫びまくり・跳ねまくり!
実に爽快! 実に清々しい!(笑)
小さな事件は種々あったけれど、本当に楽しかった!!!
……と、書いていると延々10万字くらい書きそうなので、箇所箇所話は日記に頼
りつつ、、、(笑)
今日はこのツアー中にあった、「オソロシイ話」をひとつしたいと思います。
最初に言っておきますが、「実話」です。
コワイ話が苦手な人は読まないように……(笑/といってもオバケじゃないけど)。
* * * * *
それは広島の某ホテルでの出来事。
夜遅めの時間に到着、荷物おろしをみんなに任せ、会計係の私がまとめてチェッ
クイン。手続きを進めていると、ひとりのおばさんがやってきたのです。
たったひとりしかいないビジネスホテルの受付ホテルマンと私が絶賛やりとり中
だったにも関わらず、おばさんは平然と割り込んできて甘えた口調でしゃべり始め。
どうやら金がなくカードで泊まれないか聞いているらしく。
こんな安ホテルなのに? こんな夜遅く? ひとりで?
……なにやら怪しい……。
それからしきりと私に話しかけてきたのです。
なになに、何かのバンドなの? どっからきたの? みんな素敵ねぇ、等々。
そして私の書いている宿泊者カードを無遠慮に覗き込み、書かれている制作会社
名を読み上げた時は、さすがに取り上げ、睨みつけ、あとはガン無視。不穏な気配
を発し続けていました。
なのにホテルマンは平然と、おばさんが大注目の中、全員のフルネームと部屋番
号を大声で読み上げつつ、私に鍵を渡してくれて、、、
……この、KY野郎が!!!(ナカユビ)
ひとりだけ女性名だからわかったのでしょう、私に、ああ、あなたは××さん(
本名)ていうのね、6××号室なんだ~と話しかけるおばさんを更にガン無視しつつ、
車を止めてやってきたメンバーに、おばさんに背を向け隠すように鍵を渡しつつ(
既にほぼムダ)、そそくさと部屋へむかいました。
遅い夕飯を食べるため、荷物をおいてすぐロビー集合だったので、そのまますぐ
に下へ。エレベーターが、チン。フロント階に止まり、扉が開くと、真向かいのソ
ファーに、あのおばさんが座っていました。
私と目があった途端、おばさんはニヤリと笑い、座ることで膝小僧が丸見えにな
っている膝丈スカートからでた足を、ゆっくりと、見せつけるように開いていき、
、、
ナンデ女ノ私ニソンナコトヲ、イヤソレヨリ一瞬ダケ見エテシマッタソノ奥ガ黒
カッタノハキット下着ダロウソウニ違イナイイヤソウダ。
いずれにせよ今見たモノを記憶の彼方にとばす努力を猛烈にしながら、私は、み
んなと一緒にそそくさとネオン街へと旅立っていったのでした。
……その後。
翌日は移動日だからと、安心して広島お好み焼きをたらふく食べ、気分のいい焼
酎居酒屋で酒を飲み、コンビニで水等を購入して幸せな気持ちで戻ってきた私たち
の笑顔は、ホテルのフロントについた途端、凍りつきました。
……おばさんがいたのです。
……洗い晒しの濡れた髪のままで。
……部屋着(備え付けのうっすいガウン状のヤツ)のままで。
真っ暗に近い午前3時のビジネスホテルのロビーで、そこだけぼぅっとサスライト
に照らされている公衆電話の前で、ハイチェアの椅子に座りつつ電話の両側に足を
のせつつ、濡れた髪から水をしたたらせつつ受話器を握りしめつつ、おばさんは、
ゆっくりとこちらを振り返ると、サスライトと重い前髪のせいで影がかかり、顔の
パーツの中で唯一見える唇を開き、ニヤリと笑ってこう言ったのです。
「……おかえり~。遅かったね~……」
私たちは全員無言のままエレベーターに飛び乗りました。
そして、ドウシヨウアノ人私ノ名前ト部屋番号知ッテルンダヨとおののく私に、
大丈夫だ、さすがに狭いシングルの部屋で一緒に待機する訳にはいかないが、電話
してくれればすぐに飛んでいくから枕元に携帯を置いておけ、俺たちも置くから、
くれぐれも携帯を離すなよとみんなに言い含められ、励まされ、私は、何とかひと
りで自室に入っていったのでした。
とりあえず、ライブ後の汗と冷や汗が張り付いた体を流そうと、シャワーを浴び
ることに。勢いよく叩きつけるお湯に温められ、少しずつ緊張もほどけ、ほぅっと
ひと息、ため息を漏らした、……その時。
「コン、コン」
……聞き間違いか?
シャワーの音がうるさくてよく聞こえない。
でも今シャワーをとめちゃダメだと本能が囁く。
お湯を浴びながら全神経をドアに向ける。
「コン、コン」
キターーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
どどど、どうしようどうしよう!?
でも今は浴室。携帯はそばにはありません。
安いビジネスホテルのユニットバスには緊急用のボタンなんかもどこにもなくて、
私は、ただひたすら気配を殺し、外の人が諦めて立ち去るのを待ち続け、、、
……10分くらい経過したろうか?
静かになったドアののぞき穴から確認後、勢いよくドアを開けたのですが、そこ
にはもう誰もいませんでした。
報告がてら電話したバンドマスター・森藤氏はフロントへの通報を強く勧めてく
れたけれど、それが「彼女」である証拠がどこにもない以上、やっぱり……という
ことで、そのまま不問ということに。
悶々と、眠れぬ夜を過ごしたのでした。
諸事情でとっとと早くからチェックアウトしたので、その後彼女には私は遭遇し
なかったんだけど、メンバーのひとりはバッタリ会い、私のことをさりげなく聞か
れたらしく。
おおおお怖ろしい。早くでて、本当にヨカッタ!!!!
* * * * *
あれから約3週間が立つのですが、今もバンの後ろを開けるたび、
「どうする? ここを開けたらおばさんが鎮座してて『こんにちは』って言ったら
……(笑)」
とからかうメンバーの言葉がリフレインしてしまうのです。
他人事だと思って(-_-;) チクショウ。
……ってドウ? 怖くなかった???(^^;
そんなワケで、日々の仕事をいろいろこなし、今週末も、今日もみんなと一緒に
今回最後のバンに乗り込んできます。おばさんのことは、吹っ切って(爆)。
後悔のないように、オモイキリ!!!!
イッテキマス!!!!!