高速バス、本数が日本一多い路線はどこか 鉄道を圧倒する高頻度運行、その利用実態
は
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全国で毎日1万5000便以上が運行されている高速バス。1日に100往復を超える路線もあ
ります。運行本数が最多の路線はどこでしょうか。そして、それはどのような人が利用
しているのでしょうか。
本数最多路線は、日中およそ10分間隔
高速バスの年間輸送人員(延べ利用者数)はおよそ1億1500万人(2015年度)、全国
で毎日1万5000便以上が運行されています。このうち夜行路線の比率は約1割にすぎず、
そのほとんどは、より短い距離を昼間に高頻度で運行する昼行路線です。
それでは、1日当たりの運行便数が最も多いのは、どの路線でしょうか。
それは、西日本鉄道(以下、西鉄)が運行する福岡~小倉間で、1日に最大121往復も
運行されています(経由地が異なる4系統合計)。僅差で、西鉄と九州産交バスが共同
運行する福岡~熊本間の最大104往復(福岡空港~熊本を含む)が続きます。首都圏で
は、ジェイアールバス関東/京成バス/関東鉄道が共同運行する東京駅~鹿島神宮(茨
城県鹿嶋市)間の82往復が最大です。
121往復といえば、24時間で単純に割ると1時間あたり約5本です。深夜時間帯には運
行されていませんから、日中はおおむね10分間隔で運行されていることになります。こ
こまで高頻度ではなくとも、片道2、3時間程度の距離で、かつ1日を通して一定の間隔
で運行される昼行路線が、高速バスの典型だといえます。
新幹線開通で高速バスのシェア上昇? 特急列車を圧倒した路線も
前出の福岡~小倉や福岡~熊本のほか、たとえば東京~水戸(3ルート合わせて41.5
往復)や東京~松本(24往復)などは、鉄道(新幹線や特急電車)と競合する路線です
。このうち福岡~熊本の高速バスは、九州新幹線が2011(平成23)年に開業してからさ
らに利用者が増え、増便しています。競合相手が在来線特急から新幹線に変わったこと
で料金が上がり、安い回数券も廃止され、また便数も減ったことで、以前よりも高速バ
スのシェアが上昇したのです。
先にあげた東京駅~鹿島神宮は興味深い路線です。同区間には2015年まで特急電車が
運行されており、分類でいえば「鉄道との競合路線」でした。しかし、1989(平成元)
年の開業当初はわずか6往復だった高速バスが82往復まで増便を繰り返す一方で、特急
列車は廃止され、現在では「高速バスがメインの交通機関」という位置づけに変わって
います。
「鹿島神宮行き」というと、神社にお詣りに行くための路線のように思うかもしれませ
んが、利用者の多くは茨城県の鹿行(ろっこう)地域(鹿嶋市や潮来市など)に住む人
たちです。沿線には鹿島臨海工業地帯が広がっており、東京とのあいだではビジネスの
往来も相当あります。とはいえ、特急列車の場合は1編成で何百人と乗車することを想
定しているため、需要量を鑑みれば日に数往復程度しか設定できません。これに対し、
1便あたり40人程度で満席になる高速バスなら高頻度に運行することができるので、忙
しいビジネスパーソンの移動にも高速バスの方が向いていたのです。
このほか、37往復が設定されている東京~駒ヶ根・飯田(長野県)や、70往復の大阪~
徳島(いずれも競合各社合計)といった区間も、鉄道であれば遠回りになったり乗り換
えが必要だったりするので、「高速バスがメインの交通機関」という位置づけになって
います。