作者:
OGATA (HARUKA)
2007-08-29 17:25:54◆◇ 「緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。」 ◇◆ 2007年8月29日発行
vol.68「発信準備、完了!」
一昨日、例のものを、とうとう、観てきました。
新劇場版「ヱヴァンゲリヲン」。
楽しみにしてくださっている方のためにも、内容は何も言えません。
でも、ただただ、ひとこと。
「観てください……!!」
震えました……。
今、手元に取材の原稿チェックが2つあるのですが、それを終わらせてしまえば、
公開前の私の仕事は終わり。公開後にまだ少し控えていますが、ひとまずはホッと
ひと息。やっと肩の荷が降ろせるようなキモチです。
あとはただひたすら、ひとりでも多くの方に観てもらえるよう祈るだけ……とい
えるほど、今回の新劇場版をめぐっては、本当にたくさんのプロモーション活動に
勤しんできました。
一般の方々に名前が浸透しているようなメジャーアニメ作品達に、私はありがた
いことにかなりたくさん関わらせて頂いてきた方だと思うのですが、こんなに「営
業」したのは、旧エヴァを含め全作品の中で初めてのことでした。
しかも、私達声優が従来取材を受けるようなアニメ・声優誌やアニメ関係の番組
等、業界関連のメディアではなく、「キネマ旬報」「ぴあ」といったエンタメ雑誌
や「銀幕会議」「めざましテレビ」「J-WAVE」等、一般の方々が触れてくださるよ
うな媒体に多数出させて頂けたのには、本当に驚きました……!
近年、アニメーションの、特に劇場版やテレビ特番等には、ゲスト声優に本職の
声優ではなく、一般的認知度の高いタレントさんや役者さんを使われる機会が増え
てきました。
それにはぶっちゃけ、「一般のテレビで話題に取り上げて貰うにはそれしかない」
ということを始めとした業界的裏事情が大きいからだそうですが……だからこそそ
んな中、私のような一介の声優が、こんなに一般の番組や誌面に露出させて頂ける
のは本当に珍しく、ありがたいことなのです。貴重な体験でした。
でも、最初は必死だったんですよ。
なぜなら私は、テレビという媒体がとても苦手だったので。
というのも、、、今まで「声優・緒方恵美」として出させていただいた多くの番
組で、「色物」的な扱いをされることがとても多かったから。
まるでバラエティの添え物的な感じで、「晒されている」感が強かったんです。
極端な話、「こんな顔のひとが、こんなにカッコつけてセリフを言っているとい
うトコロを見せたい」的な……そこまで穿ってなくても、マジックの裏側大暴露!
的な、私の嫌いなネタバレバラエティ的な感じといいましょうか。
すべての番組がそうではありませんでしたが、例えば私達のV(出演ビデオ映像)
を観ながら他のタレントさんが、「俺にはまったくわからない」「アニメ好きな奴
の気持ちがしれない」的な発言をされていたり、ボードで顔を隠してカッコよく(
可愛く)喋り、後でボードをはずして笑いを取ったり……。
そういうのが嫌じゃなく、バラエティタレント的にこなせる声優もいます。
でも、なんだろう。そういう番組に自分が出たり、誰かが出ているのを観たりす
るたびに、私は、哀しいキモチになってしまっていたのでした。
でも今回は、どのメディアも、私をひとりの声優として……「役者として」扱っ
てくださった。一本の映画作品の主演俳優として、丁寧に、真摯に耳を傾け、作品
に対する想いを引き出そうとしてくだった。
普通の役者に「あのドラマのあのシーンを今ここでやってください」とは言わな
いように、役のキモチにならないとその声にならない不自由な声優の私に、「○○
ってセリフを今ここで言って」的なことも強要しないでいてくださった。
感謝しています。本当に。
取材をしてくださったみなさん、取り上げてくださった番組のみなさん、ありが
とうございました。
いつもならなるべくテレビを避けていた私が今回頑張れたのは、そういう、関係
者の皆さんのおかげ。
そして何より、……この作品のため。
「本気」の作品です。
一流のクリエーターが、プロデューサーが、役者が、「本気で創る」ということ
はどういうことなのか……そのすべてがつまっています。
いろいろな「できない理由」をつけて、誰かが辿った道のりをなぞるように生き
る(創る)のではなく、「できる状況」を自らの手で生み出し、切り開き、全身全
霊で歩くエンターテイナーたちの「今」を、ぜひ感じてください。
そんな素晴らしいスタッフ・キャストの中、人間としても役者としてもまだまだ
未熟な私ですが、及ばずながら、今の自分に出来るすべてを込めました。
この作品に関われ、その一部になれたことを、改めて心から感謝しています。
ぜひ、ぜひ、観にいらしてください。
できればDVDではなく、劇場で。サラウンドの映画館で。
皆様のご来場を、ご高評を、心からお待ちしています。