◆◇ 「 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。」 ◇◆ 2006年8月3日発行
vol.56 「トラフィック・アクシデンツ」
ライブが近付いてきている今、当然だがバタついている。
やることが多い上に、こういう時に限って別の仕事も重なるもんである。
嬉しい悲鳴だ。しかしそんな中、一昨日・昨日と別の悲鳴をあげてしまった。
一昨日は朝から怒濤だった。
事務所で山のようにたまったメールを処理しつつ、病院へ行きつつ、ラジオの準備
をしつつ、諸々の報告を受けつつ指示を出し、フル回転。ひとしきり落ち着いた所で
近所にヤボ用ができ、自転車を借りてひとっ走り。その、帰りのこと。
青梅街道の緩やかな下りを気持ちよく走っていたら、1台のダンプカーが追い越し
ざまに左へ寄せてきた。左折をしたいらしい。
しかし左にはワゴン車が停車している。このままだと挟まれる。
眉をひそめつつブレーキをかけようとして、焦った。
ブ レ ー キ が、 効 か な い 。
正確には「とても」甘くなっていたのだった。
フルで握っても動いていってしまう。このままではあわや、、、
考えるよりも先に身体が動いていた。
ドスン! キュ、キュー。
間一髪、停車中のワゴン車の側面にぶつかって、難を逃れた。
ホッ。
しかし特筆すべきは、その止め方だった。何と私は、反射的に自転車のゴムの部分
(タイヤとハンドル)だけでワゴン車に接触しつつ、身体を倒して左腕側面と左足裏
を車の側面に押し当て続けることで、減速し、止めていたのだ!
・・・トゥームレイダースかよ。 ←日本版ゲーム・初代レイラ役
挟まれたり、動いている車に跳ね返るよりは100倍いい。
どこかで瞬間、そう判断したのは確かだと思う。
というとカッコイイ気もしなくもないのだが、よくよく考えてみると、たぶんそれ
より、ワゴン車を傷つけて賠償金を取られるよりは我が肉体で! ととっさに考えた
ような気がする。げに恐ろしきは、我が金銭感覚。
「大丈夫ですか!」と駆け寄ったワゴン車の兄ちゃんに、
「すまない、でも車は傷ついてないから安心してな」と言ったら、
「・・・スゴイですね」と心底呟かれてしまった・・・。
いずれにせよ、左の小指と左肘、そして左のかかとの皮を少しむいたのと、腕に軽
いヤケド跡がついただけで事なきを得たのは、不幸中の幸いだった。
しかし、自分が、オソロシイ。
早く、ワイヤー、直そう・・・
・・・と考えていた昨日も、朝から怒濤だった。
リハのために用意しなければならにことが山積みで、いろいろもろもろ片づけた後、
2時開始のリハのために(セッティングは1時だがボーカルだから本来は殆どやるこ
とナシ)、12時頃家を出る。
洗いざらしの髪をなびかせ、車移動。
今日やる部分の歌を覚えつつ、気持ちよく走っていたら、“シューン”。
・・・おや? ガス欠のような反応が。
見ると警告灯の一番左の、普段まったく意識しないランプが3秒ほどついて消えた。
車はどんどん減速する。
眉をひそめつつ慣性で左へ寄って止まり、再びエンジンをかける。
か か ら な い 。
エエーなんで!?
・・・しかしこのままではヤヴァイ。
数人の友人に相談しつつ、時間がないのでJ○Fを呼ぶ。
事情を説明し、早く来てくれるように頼んだのだが、40分はかかるらしい。
エエーこの炎天下に??
・・・仕方ない・・・。
時刻は午後1時前後。
じりじりと照りつける真夏の日向のコンクリート上の車の中は、灼熱地獄だ。
しかもその街道沿いのその付近は、ちょうど古い小さなビルや住宅が建ち並ぶ懐か
しい風情の場所にあたっていて、見渡す限り喫茶店やコンビニも、それどころか自販
機すらないのだ。
・・・干し魚になっちまうだよ。 ←干し魚役はやってない
そうするうちにようやくJA○のお兄さんがやってくる。
全身絞れるような汗みずくの私は、微妙~にお兄さんと距離を取りつつ、いろいろ
話し、調べてもらう。すると、
「点火プラグに火花が飛んでないようですね。レッカーします」
エエー!? じゃあ一度、家まで戻るってこと?
今日は1時間しかいられない某方が初めて来る日なのに!?
何度か連絡を入れたが、既に事情を話していたためおそらくリハを先に始めてくれ
ていて、かつ、今は爆音ナンバーの最中なのだろう。
メンバー全員、誰1人出ない。延々コールが鳴りっぱなし。
スタッフも、PAと舞監さん以外は現場にいないようだ。くそ。
仕方ないのでレッカーを頼む。一路、家の近所の工場へ。
既に30分以上かけてここまでやってきていたのに・・・(涙)。
周りの車や通行人に注目されつつ、ゆっくりゆっくり、引き返す。
JAFのお兄さんはいいヒトらしく、しきりに申し訳ながっているので、場を和ませ
るためにいろいろアホなことを話しかけたりしてみたり。
そのうち、ふと、お兄さんが車のメーターの上を叩いた。
「あーくそ、だめだなぁ」と呟きながら。
「?」と思って覗いてみると、、、
タコメーターの値が全部、「0」になっとる!!!!
速度も0、回転数も0、燃料計も完全エンプティだ。
どーなってるの??
「いやぁ、先日突然こうなっちゃったんですよねぇ。
修理に出そうとして、今部品を取り寄せてる所なんですよ。
整備不良車ですいません」
オイオイ、J○Fが整備不良で、いいのかよ・・・?(^^;
整備不良車に牽引されて助けられる、ワタクシのクルマ。
連日のトラフィック・アクシデントに、アタマはもうクラクラ。
・・・お祓いでも、してもらうか(爆)。
しかしその分、やっと始めたリハーサルは、大爆裂大会でアリマシタ。
いやー、ストレス発散の場があるって、スバラシイ!
トラフィック・アクシデントは、「慌てずに」というお知らせだ。
「忙しい」とは「心を亡くす」と書く。
こんな時こそ、ひとつひとつ、丁寧にモノゴトをこなしたい。
外の暑さを吹き飛ばし、涼しく感じられるような熱いライブを!
カウントダウンは、もうそこだ。
ガンバロウ。